ドラフト外からフランチャイズヒストリーへ登りつめたダンカンロビンソン

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どうも宮本武蔵です
突然ですがこの写真の選手を知っているだろうか?
タイトルにもある通りダンカンロビンソンという選手である

今シーズンのヒートは3P%の確率がリーグ1位の38.3%

当然、タイラーヒーローやケンドリックナンのドラフトでルーキーながら確率が良い選手を取れたというのもあるかもしれないが今回は敢えてダンカンロビンソンについて注視していきたいと思う

ダンカンロビンソンの3P関連スタッツは

3FGM / 3FGA  ・・・ 3.7 / 8.4 (44.8%)
3FGA      ・・・ リーグ6位
3FGM     ・・・ リーグ4位

そして何よりレギュラーシーズン19試合残して3月6日のNOP戦にトータル3FGMを233本に更新して、ヒートのシーズン記録を持つウェインエリントンの225本を大きく上回る結果を出した

シーズンがコロナで中断してしまったが、このままのペースでいけば約300本のスリーを決めてたことになりAll-Time 3PM in a seasonではポールジョージの292本を抜き歴代5位の記録になる
歴代の5位以上にはカリーとハーデンしかいないことからもこれがどれだけ凄いことかが伺える

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https://twitter.com/NylonCalculus/status/1256659724029898753?s=20


しかし、ドラフト外の選手であるダンカンロビンソンがどんなにシュートが入るとはいえ、ハーデンやカリーのようにタレント力があるかと言われたらそうではない
では何故ここまで今シーズン活躍できたのかを考えた時に

- エリック・スポールストラの戦術的観点
- ダンカンロビンソンのインディビジュアルスキル

この2点が考えられると筆者宮本武蔵は思う

- エリックスポールストラの戦術的観点

ヒートにはレブロンと共に優勝に導いたビックスリーのドウェインウェイドとクリスボッシュがいた
しかし、2015-2016シーズンに肺血栓が再発してしまったクリスボッシュは試合に出ることが出来なくなる

当時ヒートはPick & rollのロールマンの得点が最も効率的なオフェンスであった

2015-2016 Miam Heat Pick & roll / Roll man PPP ・・・1.17 リーグ1位

数字だとよく分からんって人にどういうことかというとピックの時にダイブすればスリーを40%で決めてくるチーム並みの破壊力ということ
しかもそれがダイブしてるからファールになる可能性も高く破壊力でいったら相当なヤバさがあることがわかる

リスボッシュがいなくなってしまったヒートのヘッドコーチであるエリックスポルストラは2016-2017シーズンから戦術を大きく変えた
何を変えたかというとピックアンドロールではなくハンドオフを多用し始めた

ハンドオフの得点比較

2015-2016シーズン・・・3.5点 リーグ17位
2016-2017シーズン・・・5.4点 リーグ6位
2017-2018シーズン・・・10.7点 リーグ1位
2018-2019シーズン・・・8.1点 リーグ3位
2019-2020シーズン・・・10.2点 リーグ1位

さらに2019-2020シーズンに関してはPPPが1.06と、この5年で最高の得点効率をしている

なぜハンドオフを増やしたのかは分からんが自分なりに考えてみた

バスケットボールにおいてレベルが高くなればなるほどディフェンスの守り方は多種多様になる
ピックのプレイ1つ取ってもヘッジ、ショー、サグなどのロールマンの高さに加えて、誰がローテーションをかけるのかなど挙げたらキリがない
現代バスケットでピックが主流になっている中、ディフェンスの守り方も進化している
プロレベルや、アメリカの大学レベルとなれば必ずスカウティングという相手の分析が行われる
サインやコールが出た時にどんなプレイが行われるか試合中に選手たちは分かっている訳である
そこで出てくるのがハンドオフである
とりあえず見てもらった方が早いと思うので動画をどうぞ


基本的に何はともあれバスケットボールというのは身体能力が高い者、体躯に恵まれた者が有利な競技である
人間というのはボールを持った状態よりも持っていない方がフルスプリントが出来る
当たり前のことだが早く動ければディフェンスが間に合わない
ほんとに基本中の基本だが間に合わなかったらディフェンスの守り方もクソもないという利点がハンドオフにはある


次にセットプレイをより抽出


ディフェンスも例えばセットでピックだったらトラップとなっても準備がしやすい
しかし、この動画ではホーンズセットに入ってから判断を選手が決めれる為ディフェンスをどうするかチームで決めづらい
さらに、ダンカンロビンソンがハンドオフをもらう前にスクリーンを掛ける、もしくはもらう為ディフェンスが遅れる
そのため、1つ目のクリップではヴェルタンスとビールでスイッチコールをしているが遅れてオープンが出来ている
2つ目のクリップでは八村がダンカンロビンソンを取っているがダイブが空いてしまっている
ダンカンロビンソンはドリブルをついていないため容易にパスが出来る
3つ目のクリップでは八村が先に出てしまったためにスピンターンをされている
ウィザーズの場合スモールラインナップでやっていたためこれでも動けている方ではあったが、最後のクリップのようにダラスは7フッターのポルジンギスを抱えているためこれだけ動かれえると足がもつれてしまいトラップどころではない

そしてこれを見ていただいて1番に言いたいのが
ダンカンロビンソにハードショーなりトラップなりをかけなければいけない状況をどこのチームも作られているのである

本来ダンカンロビンソンがそこまでの選手かと言われると身体能力に秀でてるわけでもなく、物凄いハンドリング能力を持っているわけでもない
ひたすらにシュートが入り、それもスポットアップだけでなくオフザムーブからのシュート能力に長けているのである
ハンドラーになれないダンカンロビンソンはスポットアップのみではここまで脅威にはならなかっただろう

この5年でアデバヨ、オリニクと動けるビックマンを獲得して、ウィンズロウを放出しウイングを集めた
ドラフト外の選手にここまでの活躍をさせたスポルストラは5年前からここまでのことが見えていたのかもしれない

とここまでがスポルストラの戦術的な観点から見えたヒートの強さである
ダンカンロビンソンの打つスリーのシュートは95%以上がアシストによるものである
そして彼はFGAとしては9.4本しか打たないがそのうち8.4本はスリーである
当然ここまで振り切った選手に対してどこのチームも対策をしてくるわけだが、それでもダンカンロビンソンが活躍し続けた理由が2つ目のインディビジュアルスキルにある

-ダンカンロビンソンのインディビジュアルスキル

ダンカンロビンソンに関して、下記の二点について秀でていると考えられる

▫️ ファンダメンタルの高さ
▫️ スクリーンのリード

▫️ファンダメンタルの高さ

1つ目にあげられるのが純粋にハンドオフのシュート確率についてである
フルスプリントから身体をゴールに向ける動作、歩幅を合わせる動作、捕球の動作とハンドオフは意外と高度な技である
リーグの中でもJJレディック、クレイトンプソン、カリーとこれが出来る選手は少ない
さらに、最もタフショットである4 feet以内のクローズアウト時のスリーを平均2本以上打つ選手はリーグに15人しかおらず、その中でもダンカンロビンソンは3P%がリーグトップの40.6%なのである

▫️ スクリーンのリード

2つ目にあげられるのがスクリーンの外し方である


1クリップ目
普通にディナイ気味に守っているがダンカンロビンソンからすればイージーバスケットである
ハリスがもうちょいだと思うのはこういうところであると思う
別にヘルプにいるわけでもないのにベストシューターそんな離してどうするんっていう
先ほどからスプリントスプリントと言っているが皆さんが思ってる3倍は早い

2クリップ目
シューターをマークする手法の1つにトップロックという、わざと相手が行きたい方向に立って行かせないようにする技がある
トップロックで守っているが関係なし、ワンフェイクで振り解かれている
うまいと思うのは身体をわざとダンカンロビンソンが当てて振りほどき距離を作っているのである
ちなみにトップロックしている選手はマティスサイブルという選手でウイングスパンが長くディフレクションやスティールが得意なかなりディフェンスの良い選手である

3クリップ目
ハーダウェイJrがあえてくっついて離さないようにしているが一瞬バンプして距離をうまく作っている


そして、もうひとつダンカンロビンソンはスクリーンの掛け方がとてもうまい
スクリーンをかけに行くのかスクリーンをもらうのかあらゆる選択肢の中でディフェンスはマークしなければならない
ダンカンロビンソンがスクリーンをもらうならば距離を開けては打たれてしまい、スクリーンをするならフォローに入らないとならない

スクリーンの外し方の動画でダンカンロビンソンがユーザーになっている動画はあげているのでスクリーナー側になる動画をどうぞ
因みにややこしくなるので詳しくは言わなかったがセットを抽出したクリップのウィザーズの動画の1クリップ目と2クリップ目ではそれぞれスクリーンをかけてる選手が異なってるのも見てみてください


1、2クリップ目
フェイクでスクリーンすることによってスイッチなのかフォローアウトするのかディフェンスとしては考えなければならない
さらに、ダンカンロビンソンがインディビジュアルでやっており最早セットではないためチームとしての準備が難しい

3,4クリップ目
今度は自分がスクリーンをホールドすることによってディフェンス二人を引き連れてクラウダーをワイドオープンにしたり、ビールを背負いながらそのまま敢えてアデバヨの下を抜けることによりコースを開けている

さらにはスプリットカットとボールを1回もつかなくてもこれだけ活躍が出来るのである


ここまでヒートヘッドコーチのスポルストラの戦術的観点とダンカンロビンソンのインディビジュアルスキルについて見てきた
今シーズンダンカンロビンソンは破竹の勢いでリーグに名前を連ねた
そんな彼はロールプレイヤーとして新しいバスケットボールを切り開く者になるであろう
そんな彼も高校では無名であり、大学はディビジョン3のウィリアムカレッジから始まり、ミシガン大学トランスファーした後に4年生時にはNCAAトーナメントで準優勝した

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リダイレクトの警告

それでもNBAにドラフトされなかったダンカンロビンソンはヒートのトレーニングキャンプに参加、エリントン、ウィンズロウ、ウェイターズ、ジェームズジョンソンが怪我の中ロスターを勝ち取り、今ではヒートに欠かせない存在になっているのである

怪我人が当時多くプレイタイムが与えられたのは偶然なのかもしれない
スポルストラがハンドオフの戦術を取り入れたのも、ここまでフィットしたのも偶然なのかもしれない
それでも努力を続け残した結果は必然なのである

シーズンが再開した時、来シーズン以降のマイアミヒートとダンカンロビンソンの活躍が楽しみである